日本とフィリピン・インドネシア・ベトナムとの間で、経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)に基づいて、外国人介護福祉士候補者の受け入れが平成20年より行われています。

この受け入れ制度の目的はあくまで、両国間の経済的な連携の強化と交流を目的としたもので、日本国内で予想される介護関連職の人手不足解消といった側面はありません。

行政の建前はそうですが、実際は超高齢化社会に突入する日本の介護業界の人手不足解消の狙いがあるのは明白でしょう。

2017年度の試験でベトナム人介護福祉士候補者が89人合格したという事で、喜ばしい事ですね。

このEPAに基づく介護福祉士候補者受け入れ制度の概要と現状・今後の展望を考察してみました。

 


経済連携協定(EPA)とは


まず経済連携協定(EPA)のベースとなっているのは自由貿易協定(FTA)で、自由貿易協定とは特定の国や地域(2国間、地域内の枠組み等)との間でかかる関税の免除や撤廃、企業への規制緩和や市場開放を行い、物やサービスの流通を自由に行えるようにする条約の事です。

そしてこの自由貿易協定を軸に物流だけに限らず、人の移動、投資、知的財産権の保護、政府調達、二国間協力等を含めたより広義での経済連携を促進するのが経済連携協定(EPA)です。

日本は現在オーストラリア・シンガポール・マレーシアなど14カ国と二国間経済連携協定を結んでおり、なおかつASEAN(東南アジア諸国連合:東南アジアの10カ国が加盟)との間に日本・ASEAN包括的経済連携協定を結んでいます。

さらに記憶に新しいところでは2016年2月環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が12カ国の間で署名され、協定発効を残すのみとなりましたが、アメリカのトランプ大統領が2017年1月TPPからの離脱の大統領令に署名したため、

2018年3月に11カ国(TPP11)により、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)が署名されました。

 


介護福祉士候補者受け入れ制度の概要


介護福祉士候補者受け入れ事業は経済連携協定(EPA)に基づいて、日本の介護施設で就労・研修・実践しながら日本の国家資格である介護福祉士の取得を目指すために経済連携協定を発効した国(現在この制度を展開している二国間はインドネシア・フィリピン・ベトナム)の人々を受け入れる制度です。

平成20年度より制度は開始され平成29年度までに累計3492人の方が介護福祉士候補者として日本の介護施設に受け入れられています。

国家資格である介護福祉士は福祉系高等学校もしくは養成施設でのカリキュラムを経て受験するか、福祉施設にて介護職の実務を3年経験した後、必要資格を保有している人が受験できます。

経済連携協定(EPA)による介護福祉士受け入れ制度は福祉施設での3年間の実務を経て受験するルートになります。

介護福祉士試験の合格率は60%〜70%程度で推移しており、それほど難易度が高い資格ではありませんが、日本語での出題(外国人受験の場合は漢字にふりがな有り)なので、一定の日本語能力の取得が必須となってる分、外国人には難易度が高いと言えるでしょう。

 


介護福祉士候補者受け入れ制度の現状


2017年度には介護福祉士受け入れ制度により日本の介護施設に勤務する外国人213人が介護福祉士試験に合格しました。そのうちベトナム人が89人合格となっています。

ちなみにベトナム人の合格率は93.7%と非常に高くこれはインドネシア・フィリピンでは介護福祉士候補者となる自国での要件の中に、日本能力試験N5以上の取得がありますが、ベトナムにおいてはこの要件が日本語能力試験N3以上の取得と厳しい要件となっており、これが合格率の高さの要因となっていると考えられます。

制度発足当初は介護福祉士試験の合格者も伸び悩み、なかなかその要旨にそくした成果があがっていなかったこの制度ですが、2014年からのベトナム人介護福祉士候補者の受け入れでやや潮目が変わった感じがあります。

前述の通りベトナム国内の候補者選定要件がかなり厳しいので、ベトナム人に関しては来日時点での日本語能力がN3程度(日常会話に支障がない程度)であれば

3年間の実務を積むうちにより日本語能力の向上も期待できます。(ベースができてる人は日本語の上達速度も早い傾向にある)インドネシア・フィリピンも人が集まらないといって要件を引き下げるのではなく、むしろベトナム同様要件を厳しくし、より質の高い候補者を送り込む努力をすべきでしょう。

 


介護福祉士候補者受け入れ制度の今後の展望


元々の制度発足の基本的な考えとして、日本の介護職の人手不足を補う目的ではない事がうたわれているこの制度。たしかに外国人技能実習制度とは一線を画し、日本の国家資格である介護福祉士を取得し、介護施設での実務も経験するので、外国人の方が自国に帰国後もおおいにこの制度による恩恵は受けれるでしょう。

技能実習生制度は技能・技術の習得による経済の活性化がうたわれていますが、はっきり言って安い労働力としての側面が大きいです。

介護福祉士候補者受け入れ制度のさらなる拡充で、日本の介護現場の人手不足解消と、インドネシア・フィリピン・ベトナム側の高度介護人材の育成という利点を、制度を良い方向に保ちながら拡充していければwin-winの関係を構築できるでしょう。

ただし、根本的な問題は日本の介護人材の待遇の低さであり、そこの是正がないと介護現場の人手不足問題は解決できません。

介護福祉士候補者受け入れ制度には受け入れまでに厳しい要件があり、技能実習生制度のように爆発的に来日者が増えるような制度にはなっていないのです。(要件を緩和して受け入れ人数を増やすのは本末転倒。絶対やってはならない)

あくまで介護福祉士候補者受け入れ制度は人手不足解消の一つの打ち手なのであって、根本的な問題の介護人材の待遇改善に日本の政府与党がどういう動きを見せるのか注目していきましょう。

 

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