大企業になればなるほど、事業部・各事業所・各部署・各課の個別の業務成績や利益を優先する個別最適的な考えが蔓延しやすくなります。

各セクションの評価対象がわかりやすい数字で現れる、売上や利益となってしまうからです。

 

ですので、各セクションの長はこういう考え方をしだします。”うちの部署だけ良ければそれでいいと”。

果たしてそれで良いのかというと全くそんな事はありません。

 

例えば部署Aの日当り生産量は1000pcとします。部署Bは1500pcです。

部署Bの後工程は検査で、その後顧客に出荷とします。

部署Bの方が生産能力が高く、実際に月次生産性も常に110%以上をマークし、優秀な部署として評価されています。

一方の部署Aは上流工程にもかかわらず、生産能力が低く月次生産性も95%前後をうろうろとしている評価の低い部署です。

 

 

部署Bの部長はさらに部署Bの生産能力を高めようと、部署Bへ高性能の設備の導入を検討し、上層部に掛け合っています。

上層部は大変優秀で評価が高い部署Bのさらなる生産能力UPに期待し、高性能設備の導入を決裁しました。

同じく部署Aの部長は、上流工程こそ全体の生産システムを考える上で、生産能力の向上が必須であると訴え、高性能設備の導入を上申しました。

しかし、上層部は生産売上や月次生産性の低い部署Aの部長が何を言ってるんだと一蹴しとり合いません。

結局、部署Bのみに高性能設備が導入され、部署Bの生産性はさらに向上しました。

ところが、部署Bの生産売上や工場全体の売上・生産性は一向に向上しません。

 

 

おわかりだとは思いますが、こういったケースでは部署Aの生産能力を向上させないかぎり、工場全体の売上や生産性は絶対に向上しません。

部署Aの署員が四苦八苦しながら長時間残業し、何とか部署Bへの製品供給を間に合わせているのが目に見えるようです。

そして部署Bの署員は部署Aはだめだ、いつも納期遅れを起こしているし残業ばかりして、残業代を稼ぎたいだけじゃないのか?なんて言い出す始末です。

上層部の経営者達がこの状態を放置するとガバナンスがきかなくなり、部署Aの優秀な社員は辞めていき、あげく部署Aは縮小を余儀なくされ、ついには消滅。

部署Aの製品は全て外注化しますが、その加工技術は高く、並の外注企業では技術力が不足し、高度な技術力を持つ企業に加工を依頼せざるを得ず、コストが倍増してしまった。

なんていう最悪の結果にもなりかねません。

 

 

こういったケースでは、部署A・部署Bの個別生産性の評価は全く参考にせず、全体の生産システムでのボトルネック工程である部署Aの生産能力向上に注力しなければなりません。

部署Aに高性能設備及び、部署Bの優秀な人員を移動させ、工程能力を向上。部署Aの日当り生産能力を最低でも部署Bと同様の1500pcにし、部署Bの事実上の手待ちをなくします。

 

実際の企業活動ではさらにそれぞれの部署・製品・工程が複雑に絡み合うので、簡単にはいきません。さらに、生産現場では製品設計・生産設計・工程設計が絡んでくるので、全体的な生産システムの管理は非常に難易度が高いのです。

経営者は決して個別最適を優先する愚策をとってはならないのです。

 

 

経営者が現場を見なければならないのは、ある意味個別セクションの業務成績を鵜呑みにしてはいけないからです。

生産システム全体の流れの中で、必要以上に生産能力が高いならそれはそれで、システムの流れを阻害します。

経営者は設備・人・もの・金の全てが、生産システムの流れにそって適切に投入されているかをチェックしなければならないのです。

 

ですから、現場に経営者が回ってこない、回ってきても幹部連中を引き連れた物見遊山に来ているようなら、その企業の将来は怪しいものですよ。

 

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