在留資格『技術』と産業機械製造業・電子電気機器関連産業での『特定技能』

在留資格『技術』と産業機械製造業・電子電気機器関連産業での『特定技能』

 

日本で働く外国人の方達が取得しているビザは様々で、技能実習や留学・技術・人文知識・国際業務・経営管理・技能・企業内転勤などなど…。

一口に外国人労働者といってもその取得しているビザや携わる職種・業界はいろんな様態があります。

日本企業からしても外国人労働者を雇用する意図は様々で、人手不足や、若い世代が募集をかけても集まらない・海外に進出しているので、当該国の言語を母国語とする外国人労働者が必要など。

 

こと製造業界に目を向けると大抵の外国人労働者のビザは現状では『技能実習』と『技術』に大別できます。*『技能実習』は労働者ではありませんが、当記事内でわかりやすくするため労働者として表記します。

<他にも『定住者』や『日本人の配偶者』『永住者の配偶者』として働く外国人の方もいますが、わかりやすくするために日本に家族関係がない方が取得するビザに限定します。>

 

2019年4月から在留資格『特定技能』の新設が予定され、産業機械製造業及び電子・電気機器関連産業での特定技能ビザでの外国人労働者の受け入れも予定されている中で、

機械工学系の『技術』と産業機械製造業での『特定技能』の住み分けや問題点などを考察していきます。

 

 

在留資格『技術』とは

 

『技能実習』は近年様々なメディアで取り上げられ、その認知度も高いためビザの様態の解説は割愛し、在留資格『技術』ビザをまずは解説していきます。

 

『技術』ビザはその名の通り、日本で機械工学の技術者やIT系のシステムエンジニアとして働く際に取得するビザで、わかりやすく具体例をあげると、機械工学関連では電気機器メーカーでの生産技術職や、産業機械製造メーカーでの技術開発職。

IT系ではアプリ開発関連企業での業務や、基幹システム開発会社でのシステムエンジニア職などです。

要は一般的にエンジニアと呼ばれる職種ですね。

 

ビザ発給要件は様々あるのですが、重要なポイントは2つで

まずは当該申請者(雇用される外国人)が大学卒または専門学校卒で、従事する職務内容と大学及び専門学校で専攻した内容が一致している事。

そして雇用する企業の日本人労働者(一般には社員)と同等以上の給与である事。

以上の2つが特にビザの新規認定時に重要となります。

 

産業機械製造業及び電子・電気機器関連産業での『特定技能』

 

次に、新設される『特定技能』の産業機械製造業及び電子・電気機器関連産業での受け入れについて考察していきます。

 

まず『特定技能』ビザ認定の技能水準要件は、受け入れ分野で即戦力となる技能を保有する事とされ、

例えば『技能実習』2号で3年間、日本の産業機械製造メーカーで働いた外国人はそのままスライドして『特定技能』ビザを取得できる事となります。

こちらの記事も参考にしてください

 

ここで重要となるポイントは、受け入れ分野で即戦力となる技能を保有する事という点で、ここが『技術』ビザと『特定技能』ビザの関連性に置ける問題点となると私は考えています。

 

 

『技術』ビザと『特定技能』ビザの関連性に関する問題点

 

今までは『技能実習』ビザと『技術』ビザの職務内容は大まかには住み分けができていました。

『技能実習』はあくまで日本の産業技術を”学び”、自国の産業技術発展に貢献するという意味あいのビザです。(それも名目上で、実際は労働力需給の調整手段となっている)

ですのであくまで学ぶ立場であり、名目上は製造業で生産技術や開発などに携わる事などない訳です。

一方、『技術』ビザはあくまで高度な教育を修了した人材であり、企業の即戦力としてエンジニア職に就く訳です。

ビザの要件ではそのようになっているのですが…。

 

 

内実は外国人労働関連に詳しい方ならご存知であると思いますが、

『技術』ビザを取得し、エンジニアとして製造関連企業で働く外国人の中には、生産技術や開発などの本義でのエンジニア業務ではなく、現場でのマネジメントやライン作業リーダー・機械オペレーションなど、

エンジニアではなく、現場労働力として業務にあたっている『技術』ビザを保有する外国人も少なくありません。

 

で、お気づきかと思いますが、上述のライン作業リーダーや機械オペレーションって技能実習2号の戦力化した実習生でも似たような業務内容なんですよ。

その実習生達が一旦帰国し、再度『特定技能』ビザを取得して5年間日本で働く事になります。

合計で8年間同一企業で働き続ける事が可能となる訳ですね。

このような状態になってわざわざ高度人材である『技術』ビザのエンジニアを雇うメリットが企業側に残されるのでしょうか。

 

実際のところ、生産技術や開発などのいわゆる間接部門のエンジニアは日本人として、外国人労働者の多い現場の実質的な職長業務を『技術』ビザの外国人エンジニアに任せている企業も少なくありません。

その外国人エンジニアは基本的には同企業の日本人正社員と同等の給与でなければなりません。

ですがほとんど同じ業務内容を任せるなら、*雇用コストが下がる事が想定される『特定技能』ビザの外国人労働者に切り替える企業も増えてくる事でしょう。

*『特定技能』ビザの外国人労働者にも日本人と同等の給与とすることを政府は企業側に求める方針としていますが、これは実現しないでしょう。『特定技能』はあくまで直接雇用形態が原則となるので、給与については企業側の裁量次第となる事が想定されます。

 

『特定技能」には1号と2号という2種類のビザが設けられているのですが、『特定技能1号』には5年間という期間制限が設けられている事に対して、

『特定技能2号』は期間の上限が定められない方針で、要件を満たせば永住申請も可能となるので、各所から批判や慎重な議論を促す声が噴出しています。

 

 

1号から2号への切り替えは現状、2021年度から2業種(建設業と造船・舶用工業)に限定する事で、特定技能が実質的な移民政策だとの批判をかわす意図が見えますね。

 

しかし、政府の流動的な外国人労働者政策を考えると、特定技能2号への対象業種がさらに増える事も考えられ、仮に産業機械製造業や電子・電気機器関連産業に特定技能2号への切り替えが認められれば、

技術」ビザと『特定技能2号』ビザの実質的な違いはほとんどなくなり、『技術』ビザの在り方が議論される事になりそうです。

 

 

まとめ

 

特定技能の話題に隠れていますが、外国人留学生に関しても大学卒業後、年収300万円以上で日本語での業務が円滑である事が認定されるなら業種に問わず在留資格を得られる制度も今年4月からスタートします。

 

ますます流動的になっていく事が予想される日本の外国人労働者政策。

将来の国の在り方を決める大変重要な転換期なので、政府は政局に利用せず、議論を尽くした上での政策決定を望みたいものです。

 

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